遺族基礎年金はいくら?いつまでもらえる?
2025.06.16
遺族基礎年金は、大切なご家族を亡くされたとき、生活の支えとなる制度のひとつです。
国民年金の加入者などが亡くなったとき、その人に生計を維持されていた子どものいる配偶者や子どもに対して支給されます。
今回は、遺族基礎年金がいくらもらえるのか?その計算方法と、いつまでもらえるのか?について整理します。
目次
1. 遺族基礎年金とは
遺族基礎年金とは、国民年金に加入していた人や老齢基礎年金の受給資格があった人が亡くなった場合に、その遺族に支給される年金です。
亡くなった人に生計を維持されていた子どものいる配偶者または子ども(18歳未満または20歳未満で1級または2級の障害の状態にある子ども)に支給されます。
遺族基礎年金を受ける条件については↓の記事をご参照ください。
2.遺族基礎年金額の計算方法
2-1.遺族基礎年金額の計算式
遺族基礎年金の支給額は、以下の計算式で計算されます。
・基本額 + 子どもの数に応じた加算額
2-2.計算の構成と改定率
遺族基礎年金の支給額は、次の二つの要素で構成されています。
(1) 基本額:年額78万900円×改定率(百円未満四捨五入)
(2) 子の加算額:第1子と第2子は年額22万4700円×改定率 、第3子以降は年額7万4900円×改定率(百円未満四捨五入)
改定率は、年度ごとに決められます。
令和7年度(令和7年4月分から)の改定率は、以下のとおりです。
・昭和31年4月1日以前生まれの人:1.062
・昭和31年4月2日以後生まれの人:1.065
・子の加算額:1.065
【参考資料】厚生労働省「令和7年度の年金額改定について」
2-3.基本額と加算額の計算
令和7年度の基本額および子の加算額は、以下の金額になります。
(1) 基本額
・昭和31年4月1日以前生まれの人:年額78万900円×1.062=年額82万9300円
・昭和31年4月2日以後生まれの人:年額78万900円×1.065=年額83万1700円
(2) 子の加算額
・第1子と第2子:年額22万4700円×1.065=各 年額23万9300円
・第3子以降:年額7万4900円×1.065=各 年額7万9800円
3.配偶者の場合、いくらもらえる?
令和7年度に、配偶者(昭和31年4月2日以後生まれの人)が受給権を有する場合、次のとおり支給されます。
・配偶者+子ども1人:83万1700円+23万9300円=年額107万1000円
・配偶者+子ども2人:83万1700円+23万9300円+23万9300円=年額131万300円
・配偶者+子ども3人:83万1700円+23万9300円+23万9300円+7万9800円=年額139万100円
・子どもが4人以上いる場合は、139万100円に、4人目以降1人につき7万9800円が加算されます。

4.子どもの場合、いくらもらえる?
配偶者が受給権を有しない場合、または生計を同じくする父母がいない場合、子どもが受給します。
令和7年度に、子どもが受給権を有する場合、次のとおり支給されます。
・子ども1人:年額83万1700円
・子ども2人:83万1700円+23万9300円=年額107万1000円
・子ども3人:83万1700円+23万9300円+7万9800円=年額115万800円
・子どもが4人以上の場合は、115万800円に、4人目以降1人につき7万9800円が加算されます。
5.遺族基礎年金は、いつまでもらえる?
原則として、遺族基礎年金は、死亡した人によって生計を維持されていた子どもが18歳になる年度の3月31日(子どもが1級または2級の障害状態にある場合は20歳)まで受給することができます。
ただし、受給権者等の状況変化によって、一定の事由に該当すると、支給額が変わる、または受給権がなくなる場合があります。
5-1.配偶者の受給権がなくなる事由
(1) 配偶者本人の状況変化
① 亡くなったとき
② 結婚したとき(内縁関係含む)
③ 直系以外の養子となったとき
※また、遺族基礎年金は、老齢基礎年金と同時に受け取ることができません。
配偶者本人が65歳になる時に、老齢基礎年金と遺族基礎年金のどちらかを選択する必要があります。
(2) 対象となるすべての子どもの状況変化
① 亡くなったとき
② 結婚したとき(内縁関係含む)
③ 配偶者本人以外の養子となったとき
④ 死亡した人と離縁したとき
⑤ 配偶者本人と生計を別にしたとき
⑥ 18歳になった年度の3月31日(1級・2級の障害状態の場合は20歳になったとき)
⑦ 18歳になった年度の3月31日後に20歳未満で1級・2級の障害状態でなくなったとき
5-2.子どもの受給権がなくなる事由
(1) 子ども本人の状況変化
① 亡くなったとき
② 結婚したとき(内縁関係含む)
③ 配偶者本人以外の養子となったとき
④ 死亡した人と離縁したとき
⑤ 配偶者本人と生計を別にしたとき
⑥ 18歳になった年度の3月31日(1級・2級の障害状態の場合は20歳になったとき)
⑦ 18歳になった年度の3月31日後に20歳未満で1級・2級の障害状態でなくなったとき
5-3.支給額が変わるタイミング
(1) 対象となる子どもの数が増減した場合:翌月から
(2) 年度ごとの改定率が変更された場合:通常は4月分から
(2) 年度ごとの改定率が変更された場合:通常は4月分から
6.まとめ
基族基礎年金は、大切なご家族の生活を守るための重要な制度です。
その支給額は、基本額と子の加算額により構成され、改定率や子どもの人数によって変動します。
遺族基礎年金がいくらもらえるのか?いつまでもらえるか?を理解し、適正に遺族基礎年金を受けましょう。

税理士・社会保険労務士
横浜市旭区二俣川の「すぎやま税務・労務事務所」代表。
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